リフォームとリノベーションの定義については、明確なものを目にしたことがありません。一般的には、修理・修繕・リプレイスなどがリフォームで、その住戸の一定の価値増加を目して行う手入れ・施工がリノベーションといったところでしょうか。建築確認が必要かそうでないかは、別の話です。また自己所有の住戸を自己居住の目的で行う場合は、リノベーションと呼ばないことが多いようです。「くらし スエヨシ」では、これらのプランを提供しています。
両方ともに重要なこと
- 目的の明確化
- 家族の同意
- 予算限度、工期末の設定
- 制度資金の利用
目的の明確化は、何事においても重要です。施工のレベル(試用部材の等級、住宅機器の品質など)、施工範囲などを専門家である施工会社と打ち合わせするときに重要になります。
家族の同意もまた欠かせません。稀に、長々と打ち合わせをした挙句の果てに、家族のうちの誰かが突然、よくわからない理由で猛烈に反対を始めることがあります。お決まりの言葉は、「見積だけしか見ていないから分かりません。」です。見積は通常、施工図を描く前に作成します。まだご発注頂けるかどうかわからない場面で、それなりの図面を提示することは困難です。理由は、①施工会社内において労務工賃という費用が発生すること、②その施工図等を施主(依頼者)から横流しされ、他社に安価で受注されてしまう恐れが大であること、③その会社が失注したときにその施工図等に係る労務費を施主は払おうとしないことなどがあります。受注前に施工図や詳細なプランを提供することは、施工会社にとって確実にマイナスであり、施主にとっても社会的信用を知らないうちに落としてしまう原因になります。
しかし、仕上がりの状態も気になるものです。色合いや質感はサンプル等で確認できます。設備機器はカタログが参考になるでしょう。また施工
図レベルでなく、間取り図のようなものは準備できることが多いものです。ご依頼してみてはいかがでしょうか。管理人の経験上では、照明が重要な要素であると思っています。明るいことが一番です。あまりに単純なようですが、印象というものはその程度のものです。残念ながら、住宅設備機器は、特別注文品というのが殆どありません。せいぜい指定できるのは、サイズと色です。元から自由度が少ないのですから、ある意味あきらめも覚悟してもらわないと終わらないのです。
予算限度、工期末の設定は、遠慮なくお伝えください。できることとできないことを明確にお答えします。リフォームやリノベーションは、一時にしなければならないということは無いので、予算の範囲内で優先順位の高いものから行えばよいのです。また屋内のことは、DIYで考えても良いのではないでしょうか。
制度資金の利用については、管理人が対応します。また最近は行政の窓口対応もかなり良くなってきました。直接聞かれた方がその他の様々な制度の勉強にもなります。施主(依頼者)の内情は、ご本人が一番よく知っているのですから、積極的に取り組むことをお薦めします。
リフォームで重要なこと
一にも二にも、信頼のおける施工会社(者)を探し出すことです。ご親戚やお友達にどうしても発注しなければならないときは、管理人をご利用いただけません。言葉は悪いですがその方と運命を共にしてください。採算度返しで親身になってくれるところと、この際儲けさせてもらうよというところに二分されるように思います。ただこの場合は、施工品質が悪いことは少ないようです。
おおむねどの会社が良いかは、管理人などの長年そのような業界に慣れ親しんだものにしかわかりません。価格の安さ・高さ、施工品質の低さ・高さは、相関関係が見受けられます。また施工中の変更事項への柔軟性など跡が残らない性格のようなものもあります。最終的には、どれだけ納得性の高い施工ができるかに係るのですが、数字やグラフで表せないのが現実です。
リノベーションで重要なこと
リノベーションは、価値の増加を目していますから、思いや希望だけでは良い結果を生むことができません。
- 耐震診断・耐震補強工事
- 配管設備など目に見えない場所
- 屋根、外装、柱、耐力壁など
- 水廻り4点セット(バス、トイレ、キッチン、洗面所)
- ガス温水器、エコ給湯、電気・TV共調配線など
- 床、壁紙など内装
管理人は上記の順序で考えます。建物の価値を向上させるのであればこの順序になるということです。逆に言うと、後になるほどその都度何とかなる部分であるということです。またリノベーション後に売却しそれが旧耐震基準( 1981年、昭和56年5月31日までの建築確認等)の建物であった場合は、耐震診断・耐震補強工事又は、既存住宅瑕疵保険の付保をお薦めします。これらは、購入者が不動産取得税・登録免許税減免、住宅ローン減税などを利用するときに必要になります。売却時に有利になるということです。ただこの部分に関しては、他に消費税課税取引時に利用する住まい給付金などもありますが、管理人はFPとして大変危惧しています。
木を見て森を見ずという言葉があります。各種の減税措置や給付金は魅力的です。ただし、減税措置の穴埋めはこれまた税金で行っているのであり、給付金を拠出するときの大きな目的はその事業の活性化、つまりその利益は事業者側に流れるシステムになりがちであるということです。利用者(施工主、依頼者、購入者等)にその便益は届かないものなのです。政府の政策に踊らされるよりは、見積競争を賢く行った方が十分によい結果を生んだりするのではないかと思っています。
最後にマンションの場合です。居室の木部と水廻りを総取替し、その他手続き費用を含めると家一軒分を建設する費用が必要です。その状態で売却すると、貨幣価値が時間経過とともに向上する場合は、新築購入時と同じような売出価格になり、インパクトのない物件価格になります。売却目的であれば、室内配管の取替、水廻り4点セット取替、床の張替え程度で十分です。見栄えのため壁紙を張り替えたり、畳の表替えをするのも良いでしょう。気を付けなければいけないのは、マンションは何をさておいても、「管理規約」が憲法です。ときどき耐力壁でない部分も含めて間取りの変更を禁止していたり、共有部分との取り合いがある配管等は指定業者がいたりなど、思わぬ障壁に遭遇します。管理組合へのヒヤリングは必須です。