賃貸契約の場合は、すでに広告において物件内容は相当程度に示されていますから、重要事項説明書(以下、重説)と契約書がセットになることが多いようです。宅建業法上は、契約の前に重要事項の説明を行うよう定められていますが、同時も有効と解されています。貸主にとっては、作成前に少なくとも契約書は、チェックすることをお薦めします。
確かに管理人も加盟するハトのマークの全宅連の標準様式を利用すれば、一定の必要条件をクリアします。ただ、あなたの物件が標準物件であるかどうかは分かりません。また特約・容認事項があまりにも長くなる(1ページを超える)ようでは、ほめられたものにもなりません。欧米のように、将来起こりうることをあげつらって、その時にはこうするのだと事細かく決めておくのも一つの方法です。それでも現下の住居の余り具合を鑑みれば、賃貸状況に不具合があるときは引越せば足ることも事実です。
貸主が契約書を見るときに注意する点は、主に、契約書の前段にある表記の部分です。支払方法を含む契約内容などがあります。ここで足らないのが、設備の取り合いです。このサイトをご覧いただいている方はすでにお気づきだと思いますが、物件告知が重要である由縁の部分である設備の状況の表記がハトのマークの全宅連の契約書には有りません。重説にあります。従って、重説も同時にご覧ください。
一般論法として、重説は仲介業者が借主等にする説明とその文書です。契約関係はあくまでも貸主・借主間で行われるので、重説はその契約関係に影響を与えないという考え方があります。しかし、例えば契約書に「重要事項説明書に記載の内容は、本契約の特約・容認事項に準ずる。」という一文を挿入することによって、契約関係に介在させることも可能です。あるいは、そもそもそういう性格のものであると解することもできなくはありません。
賃貸事業によって、事業主の収支バランスが図られ、社会的にも貢献できるような事業化が実現すれば、他にいうことはありません。ただ残念ながら、昨今の賃貸事業を取り巻く環境は、厳しさを増しています。多様化と人口減少という日本の国家レベルの問題が、賃貸事業を直撃することに間違いはありません。このような中にあってもまだ住宅団地を供給しようとする地方の土地開発公社があるのですから、目も当てられないというのが正直な感想です。
重要事項説明書と契約書は一つ(同じ)の書面でも法的には有効ですか?
お問い合わせありがとうございます。
法的な話をすれば、宅建業者が作成・交付するのは、35条書面(重要事項説明書)と37条書面(法定列挙の契約の内容を記した書面)です。
いわゆる契約書に「この契約書は、宅地建物取引業法第37条に定められている書面を兼ねています。」などの文言があるのは、その所以です。
つまり、いわゆる契約書の内容は、37条書面の必要記載事項を包括するように作成します。
また交付の時期は、35条書面は契約が成立するまでの間に、37条書面は契約が成立したら遅滞なく交付するものです。
重要事項説明の時に35条書面は必須ですが、37条書面は必須ではないものの、あることは望ましいことです。
従って、この二つが同時に存在することは、是とされるでしょう。
1冊にまとまっていたからと言って、問題は無いものと解されます。
ただし、例えば、A2の用紙の表裏にそれぞれの書面が記されたり、1冊の書面の中で混ぜ合わせたりして作成するといささか判断に苦しみます。
2つの書面が1冊になっていることの問題点は、購入者等が重要事項説明の後に熟考してから契約を結びたいときに、宅建業者に対してその申し出がしにくくなることでしょう。
解決方法は、重要事項説明会の前までに疑問点を発見し、事前に十分協議の上、2つの書面を購入者等と宅建業者が協力して作成することです。
最後に、賃貸の場合は、上記のとおりですが、売買の場合は、やはり2つの書面は分けて作成する、或いはそのようにお願いをすることをお勧めします。
売買の場合の情報はかなりの量ですから、重要事項説明書をもとにできる限りの検証を行い、契約締結に臨んでください。
これを拒む宅建業者の場合は、要注意です。
以上のようなところです。