入居審査は、貸主がします。サポート・助言はしますが、仲介業者がする訳ではありません。また仲介業者は、所轄官庁から賃貸弱者(高齢者、身体障害者、外国人、子育て世代等)に配慮するよう促されています。また入居申込人の支払能力と支払行為可能性の計測は極めて困難であることは明白です。できることは、過去の支払遅滞や不払いが無いかを調査する程度でしょう。そのような情報は、特別な機関が有しています。一般には、家賃保証会社がその情報にアクセスできます。
借主が法人の場合、信用情報としては過去3か年分の財務諸表類の提出をお願いします。主に損益計算書と貸借対照表を見ます。過去に管理人がごく簡単な定量分析をして貸主に報告したところ、大変喜ばれました。残念ながらだからと言って、借主となるその法人の支払可能性が高まるわけではありません。倒産や営業停止する企業の多くは、流動負債の額がそのまま倒産時の負債額(精算が必要な額)になります。その頃には、残っている固定資産は資産価値が薄いものであったり、流動資産については、当座資産は凍結され、棚卸資産は取りつけ騒ぎ、その他資産は焼け石に水といったところでしょう。そうなるかどうかは、資金繰り表が示してくれます。これには、入出金の”タイミング”を教えていただかなければいけません。社外の利害関係が対立する人間には到底困難ということです。
そこで「連帯保証人」が必要になります。たまに”親の遺言で連帯保証人だけはなれません”などといった言葉をテレビのドラマやバラエティー番組などで耳にすることがあります。「金銭消費貸借契約(借金)」については、全くその通りです。もし引き受けるとしたらいつでもどぶに捨てて構わない額にとどめるべきです。金銭感覚は様々で、断りづらい人間感覚もあるでしょう。ただ通常は、何の見返りもなく借金の連帯保証人引き受けを求めてくる人のことは、疑って間違いありません。
それに比べて居住借家の連帯保証人は、保証額をある程度計測できます。また経験上、殆どが親をはじめとして親戚関係の方が引き受けるようです。貸主としては、①明渡し(家財の処分)、②未払い家賃等の支払が当面の課題です。連帯保証人には、まずは①への対応、②については話し合いで解決することになります。①に対応してもらえないと連帯保証人には明け渡し訴訟費用まで請求しなくてはいけなくなりますね。いずれにしても毎月の入金チェックは欠かせません。
連帯保証において例外的に保証額が高に上ることがあります。それがもらい火を含めた火災などで賃貸物件を返還してもらえなくなるケースです。貸し手としては、修理で済まないことが殆どで、建て替えも視野に入れる必要があります。もし再築した物件の価値が向上する部分があるのならその部分は貸主負担でも仕方ありません。しかしその他の費用については、当然に自己負担など考えられません。そこで必要になるのが「借家人賠償責任特約付き家財保険」です。
ただこれには、借主しか入れません。だからこれを契約条件にするのです。結果的には連帯保証人と貸主を守る”特約”です。勿論、大家さんは火災保険に加入することは当然です。変なところを節約すると、とんでもないしっぺ返しを受けます。保険については、次に取り上げます。
まとめとしては、借主が「借家人賠償責任特約付き家財保険」に加入し、家賃未払い等で契約解除もやむなしとなった時に早々に明け渡してもらえば、連帯保証人の債務は、さほどには大きくならないことが殆どだということがお分かり頂けたものと思われます。また貸主としても連帯保証人には、これぐらいの要求しかできないこともご理解ください。