購入契約書の内容
一生一度の買い物といわれる自宅の購入時に、その契約内容をよく知らないままの方が多いことに驚きます。とくに、不動産取引の売買契約書で特徴的なものとして「手付金・違約金」があります。これは不動産取引が、比較的金額高であり、代替物が無い取引であるので、取引当事者が簡単に心変わりをしたり、約束を守れないことを避けるために、”手付金”をかわし、”違約金”を約定します。
「手付金」は、一般的には「解約手付」と考えられています。買主が契約を破棄したいときに、売主が履行に着手するまでの間は、手付金を放棄して(手付流し)解除できるものです。売主が契約を破棄したいときには、買主が履行に着手するまでの間は、手にした手付金を返還しかつ同額を差し入れて(手付倍返し)解除できるものです。”履行に着手”というのがどの時点なのか難しいところです。コンセンサスが得られているのは、買主が内金を支払ったり、売主が物件を引き渡せば”履行に着手”したとみなされます。
違約金とは
不動産取引における違約金は、”損害賠償の予定”です。約束を守らなかった方が実損額に関わりなく支払います。解約手付との関連については、買主は、違約金の支払いと返還されるはずの手付金とが相殺されます。売主は、違約金を支払いますが手付金も返還します。つまり相手方の契約違反により解除するときは、手付金は返還される性質のものです。
心変わりで大損
売主が途中で心変わりすることはまれであり、現実に手付金を回収できないのは、買主です。契約を交わすと必ず、少なくとも手付金は帰ってきません。何とか取り戻そうと知恵を巡らしたり、どこかへ相談しても満足を得ることができる回答にたどり着けません。ただ、「合意解除」という方法はあります。分かりやすく言うと、新たに契約の往く方を話し合って、”今般の契約は解除し、違約金を取引価格の5%に減額する”などの合意をするものです。宅建業者は契約当事者ではありませんから、仲介手数料は戻りません。つまり一旦は契約が成立し、その後に契約を解除したとみなされます。合意解除は、第三者の権利を侵害しないのです。
まれに、全額返還してほしいと主張する人がいます。契約が円満に終了しないのは、自らの心変わりであるのに、強弁します。売主の機会費用、期待の利益など、宅建業者の広告費、事務費、労務費などを一切認めないという主張であり、大変恥ずかしい行為であることをご理解ください。誠意の欠けた交渉は、結果として自らの利益を損なうことになります。周りが皆、敵になるからです。
宅建業者こそが味方です
購入契約書の事前検討において重要なことは、このような契約の流れのなかで、戻れなくなるタイミングがどこなのかをしっかり確認することです。一般的な中古物件の取引は、物件定め・融資仮審査、購入申し込み、売却承諾、本契約、融資申し込み、買主・売主の履行の着手、決済・登記手続き・引渡しなどの契機があります。味方になってくれる宅建業者(仲介業者)を利用しないで不動産取引をすることがどれほど危険であるか、もう説明の必要はないようです。そしてその味方である宅建業者を選定することができる権利を多くの人が放棄しているのです。管理人などは、不思議な気持ちを禁じ得ません。不動産を購入するとき、宅建業者を代理人として指定することができるのです。興味がある方は、お問い合わせください。