預金と投資
資産運用上で重要視されるのは、目的の明確化と運用効果の計測と安全性の確保です。結論から言うと「分散投資」につきます。目的の明確化は心の中にあるとしても、運用効果の正確な計測力は専門家に委ねるとしても、資産を運用するのですから他力に任せたり、浅慮であってはいけません。他に手法がないなら別ですが、世の中にこんなにたくさんの金融商品や資産商品があふれているときに利用しない手はありません。
そんな中、最も安全で、機動性があり、保存性も高いのが預金です。銀行預金、郵便貯金などあります。定期預金をどうとらえるかは難しいところです。会計では、現預金は、現金と普通・当座預金などを指します。およそ1年以内には現金化できる有価証券等を合算して手元流動性を計測します。ただこれは企業会計であって、当座貸越・借越の契約が前提条件でしょう。資産運用に係る負債の返済を金融機関に迫られた場合、「10か月後に支払います」ではその後の信用に関わりますね。つまり”負債残の一括償還”という金融機関等の伝家の宝刀をいつでも抜ける口実を与えてしまいます。これでは、不動産などの実態への投資はできません。一部の免許がある銀行を除き日本の銀行等は、間接金融に徹していますから、そこの事情を借手側も十分理解しなければなりません。預金と投資には一定のバランスが必要ということになります。
預金と暮らし
預金は資産のトランプジョーカーです。有無を言わせぬ”ワイルドカード”でもあり、持っていても満腹になるわけではない点では”ババ”かもしれません。正常な経済活動がなされているときは頼もしいものです。しかし一旦災害など起きた場合は、あまり意味を持ちません。windows95が発売された当時、やたらとバーチャルリアリティという言葉が飛び交いました。”仮想現実”と和訳されています。管理人は、”お金”が最もあてはまる概念であると思っていました。
こうして事業として他人様の資産について検討を行うようになって、投資家の真の目的は、資産形成そのものではなく、投資家の心の中にあることを認識しています。我々FPは、どのように分散投資すれば、どのような運用効果が表れるのかを計測することは得意です。ただし、そのことが投資家の目的に適っているかは、投資家の皆さんからそれぞれに教えていただかなければ分かりません。実は、その指標の一つが残したい預金の量です。暮らしとのバランスなのかもしれません。