家賃価格算定書

0a82a3d77ef3c004fcb0ae5152898473_s新築の場合に一般的なアパートや賃貸マンションの家賃は、その建築費や土地取得費に税金などを勘案して計算します。つまり原価積み上げ方式を基本として、ランニングコストを計測し、減価償却費を注視しながら長期の収支バランスを予測するものです。ただし、そうして算出した賃料において、満室あるいは空室率を10%程度以内に抑えることができるかは、市場性の問題になります。現実的には、どのような物件を供給すればいくらの賃料を支払ってもらえるのかという”マーケットイン思考”で計画を立てることが重要です。

 長崎においては、土地価格は下落の傾向を脱することができていません。一方、建築費は上昇の傾向にあります。可処分所得が上昇しているといった報道を耳にすることは無いようです。つまり資材・材料・労働力不足を背景に建築費は上昇しているものの、可処分所得の不足を土地価格の下落が支えていると読み解くことができそうです。土地価格が下落するためには、ある意味土地の供給過多若しくは需要不足を原因とすることが求められます。住宅団地の売れ残りや人口減少など思いつくところはあるようです。

家賃価格を算定するケースは、新築の他に既築の物件の場合もあります。むしろこの方が今後の需要は多いのかもしれません。既築の場合は、流通価格、つまり近隣の相場を中心に考えるでしょう。実はこれが家賃相場の下落の原因の一つになります。賃貸物件の賃料相場は、ネット環境があればすぐに手に入れることが可能です。自らのアパートなどに入居してもらうためについついダンピングしてしまうものです。まして建設時のローンを支払い終えているときなどは、国民(基礎)年金に比べればましなものだと自分を納得させたりします。

賃借人の需要を計る統計はありますが、詳細なものや一定の地域内のものは残念ながら見当たりません。賃料相場は、そのエリアの学校や繁華街への距離など様々な要因によって形成されます。また最近の顕著な傾向として、一軒家の賃料の下落傾向を指摘することができます。賃料相場全体が下落すると、賃貸物件に掛ける補修費用などをどうしても削りたくなるのが人情です。不良物件が増加するのではないかと懸念します。

既築の住宅などを賃貸するときは、リフォームを施し、どれくらいの期間で収支のバランスが取れるのか計測するのも一つの方法です。新築のときと同じような手法で算定することが可能です。またとどのつまりは、その物件を売却するのか、再建築するのかなど出口戦略を見据えなければならないこともあります。あまり考えすぎたところで、算出された解答に大差がないのも事実です。大切なのは、その過程を理解していれば、外部環境が変化したときにすぐに対応できる体制がすでに出来上がっていることなのです。

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